音円盤アーカイブス(11,12月)

ELVIN JONES
AMAZONから昨日届いたので早速アップ。

今年亡くなったジャズドラムの巨人エルビン・ジョーンズの1999年9月のNYブルーノートでのライブ録音盤。
ENJAから4枚リーダー作を発表してからリーダー作が途絶えていたのだが、最新作が追悼盤の意味もあるのか、こうして発表されたことをファンとして喜びたい。
最後はドラムを叩けないほど衰弱しきっていたそうだがそれでもステージに立つエルビンに、20年以上前に逝ったソニー・スティットと同じジャズミュージシャンとしての性を感じるのは私だけではあるまい。
このアルバムでは、まだまだ元気な頃のいつものエルビンのドラムが聴けるのでご安心を。
「E.J.`S BLUES」「TRUTH」「五木の子守唄」「THREE CARD MOLLY」などいつものジャズマシーンのレパートリーと「STRAIGHTNO CHASER」「WISE ONE」や「BODY AND SOUL」が収録されている。
ソロイストの中では、「BODY AND SOUL」と「五木の子守唄」の2曲にフューチャーされるマイケル・ブレッカーが断然光っていて、
他のメンバーとのソロイストとしての力量の差を感じる。
出来たら全曲参加していて欲しかったと望むのは私だけであるまい。
かといって他のメンバーのソロが聴けないと言うのではない。念のため。
エルビンの実際の演奏は1985年のジャズマシーンのコンサートで見たことがあるが、ドラムを叩く姿勢が凄く美しくて無駄が無い。
リラックスしていバネがありそれでいて一音一音重みがあってそして決してうるさく聴こえない。
エルビンのドラムソロならいつまでも飽きずに聴けると思う。

このCDでもメンバー紹介のエルビンの声が入っているが、エルビンの話し方自体がジャズを感じさせ、エルビンのドラムを聴いているのと同じ様にジャズの鼓動を感じさせる。
まだまだ未発表のテープは存在するだろうからこれはと思う録音は今後もリリースして欲しいと思う。
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BOB ROCKWELL/JAN KASPERSEN
STEEPLECHASEの新譜がLPコーナーの壁面に飾られていて、そのジャケットがブルーノートのジャケットの様にカッコよいデザインだった。
それが、ロックウェルの初リーダー作「NO RUSH」だった。

結構強面のする面構えでサックスをもった姿にブルーのコーティングが施されたジャケットが印象に残っている。
ちなみに顔つきはチャック・ウィルソンに似ている。
「NO RUSH」以来ファンになった私はSTEEPLECHASEから出るすべてのロックウェルのレコードを集めていった。
どのアルバムもふくよかなトーンで唄ものでもモード曲でも、端正なプレイを繰りひろげ、オールマイティーな活躍ぶり。
こじんまりまとまっているのではなくて、ジャズ的なスリル、インプロビゼーションの起伏を充分堪能させてくれるプレイであって、
大きく歌う事のできるプレイヤーである。
最近、マシュマロレコードの上不さんのご尽力で来日コンサートが実現したが、近隣でコンサートが無かった為残念ながら見る事ができなかった。
来日コンサートを期にこれからもっと注目されて人気がわが国でもでればいいと思っている。
このCDは存在をしらなかったのを、東京に行った時、六本木WAVEで偶然見つけてかったもの。
STEEPLECHASEの諸作よりリラックスした普段着のロックウェルが聴ける。
JAN KASPERSENとのデュエットであり、全部で14曲収録されている。
コペンハーゲンの街中のカフェでくつろぐ二人のジャケット写真と同じ様に演奏でもリラックスした会話を楽しむ二人。
収録曲は「EVERYTHING HAPPENS TO ME」「I`M CONFESSING」「RUBY,MY DEAR」「UGLY BEAUTY」「JUST A JIGOLO」「LUSH LIFE」「EAST OF THE SUN」「I SURRENDER,DEAR」などのスタンダード、ジャズオリジナルにJAN KASPERSENのオリジナル作品が数曲演奏されている。
録音は1992年1月13,14,15日 コペンハーゲン
未入手だが、このアルバムが好評だったのか同じくOLUFSENレーベルから続編もでている。
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ALDO ROMANO
先週の日曜日N山さんからお借りしてきた一枚。
当初、あまり実は期待していなかった。

一曲目、流れ行く雲の狭間を太陽の光が射す様に、静かなルパートから魅力的なコーダにつながり、やがてキース・ジャレットのようにうなり声をあげながらパショネイトなアドリブラインを紡ぎだすピアノに魅かれる。
アルド・ロマーノのブラシがシンバルから金粉を撒き散らしているような感じを受ける見事な録音もあいまって好印象。
グルービーな2曲目、コクのあるブルースを聴かせてくれる4曲目
ベースとピアノがユニゾンでテーマをとる5曲目とベーシストも結構腕利きなのが窺える。
澄み切った空気感を連想させる静かなバラードの6曲目。
アルバムタイトル7曲目の「THREESOME」はアルド・ロマーノのショーケース。
4ビートで快適にスイングする9曲目。
ラストは朝の教会のステンドグラスから陽が差し込んでくるような清潔感あふれるそして少し厳かなメロディーが奏でられて終る。

大きな個性はない。そしてとてもヨーロッパ的なピアノトリオ作品である。
メロディーも演奏も適度に淡いというか、聴き飽きにくく、聴き疲れしない作品なのが良い。
ところどころにシンバルのバシャッやベースの速弾きラインがはいって読んでいる本から目が離れる。
そんな適度なテンションもいいのではないか?
イタリアンピアノトリオの水準作。

2003年11月21,22,23録音
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岡安芳明
一時、日本のジャズから関心が離れてほとんど新譜を買っていない時期があった。
平成ジャズ維新と名打ってキャンペーンなども行われていたようだが、傍観していて、大西順子や大坂~原クインテットなども1,2枚所有していただけで、あまりとやかく言えるほどきいていなかったのです。
関心が大きくなったのは、N内さんからの影響だった。
「ケイコ・リーって滅茶苦茶ええボーカリストやでぇ!天才やわぁ!」熱心に何回も語るのに影響されて広島のジャズニーズに聴きに行った。
その頃のケイコ・リーはステージでは今ほど愛想もなく音楽がすべてといった按配だったが、いままでのボーカリストにはないオーラを感じさせ、N内さんが騒いでいた理由が納得できた。
ちなみに、オフステージでは凄く気さくな方です。
それから暫らくして綾戸智絵もデビュー。
そんなこんなで、ライブハウスによく脚を運ぶようになって日本のジャズも新譜で再びよく買うようになっていった。
ギターの新譜でその頃買ったのが、宮の上貴昭の完全ソロ作とこの岡安芳明の「HOT HOUSE」。
4畳半ジャズという言葉があるが、この2枚など深夜、ウイスキーなどを舐めつつ聴いていると最高にいい。
高田馬場にあるジャズハウスHOT HOUSEでの編成をそのままスタジオに持ち込んで録音した由だが、臨場感あふれた演奏でライブハウスで本当に聴いているような気分になってくる。
編成もソロ、デュオ、原朋直を加えたトリオと飽きがこないように工夫を凝らしている。
ケニー・バレルのヴィレッジ・ヴァンガード盤やケニー・ドーハムのクワイエット・ケニーなどと並ぶ4畳半ジャズの名作がここに完成した。
メンバーは岡安芳明(G)上村信(B)原朋直(TP)
I`VE NEVER BEEN IN LOVE BEFORE,I`LL CLOSE MY EYES,SUMMERTIME,WILLOW WEEP FOR ME,HOT HOUSE,WEDNESDAY NIGHT BLUES,SAMBA DE ORFEU,I GOT IT BAD,STRAIGHT NO CHASER,LAST NIGHT WHEN WE WERE YOUNG 全10曲。
録音は1998年12月16,17日 東京

岡安さんの病気は良くなったのだろうか?
早く元気な姿で広島にも一度来て欲しいミュージシャンである。
そしてHOT HOUSE2の吹き込みも望みたいところだ。
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FRED LIPSIUS
今、しげしげとジャケットを眺めていたら、誰かに似てやしないかと思った。
「スパイ大作戦」にでてくる脇役のスパイの男の人に顔が似てやしないか?
その頃は、六本木WAVEの通販をよく利用していた。
スイングジャーナルの広告欄に推薦CDが掲載されていてこのFRED LIPSIUSもそれで知って買ったはず。
音色がとてもいい。高音域はフィル・ウッズにそっくり。
アルトサックスという楽器の特性、機能性を熟知していて、心赴くまま楽器を謳いあげていく。
曲はすべてLIPSIUSのオリジナル作で様々なタイプの曲が収録されている。
一曲目はミディアムテンポの哀愁味を帯びたテーマが魅力的。
そのままアドリブにはいって細かいニュアンスがついたスインギーでパッショネイトなプレイが早速実力をうかがわせる。
リズムセクションはLARRY WILLIS(P)GEORGE MRAZ(B)AL FOSTER(DS)と鉄壁な布陣。
プロの仕事にぬかりはないと言う感じ。
唯一、文句をつけるなら、影の部分が希薄だということ、陰りの部分がもうすこしあった方が個人的には好みかな。
3曲目はグルーヴィーなブルース。ティーンエイジの頃書いた曲だそうな。急速調の4曲目はギタリストのロドニー・ジョーンズに捧げた曲。5曲目はブラッド、スウェット&ティアーズ時代に演奏していた曲で、漂う感じをもう一度このアルバムで再演したかったそうだ。ラストは奥さんとの出会いをつづった曲。
1982年サイモン&ガーファンクルのジャパンツアーで知り合ったらしい。日本とアメリカ、2年間の文通が続いた。
1984年、LIPSIUSはバークリー音楽院の先生になる。
彼女が入学してきてそれ以来一緒らしい。
ご馳走様・・・
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NUCCIO INTRIERI
1994年の夏は今年の夏以上に暑かったを覚えているでしょうか?
雨が降らず水不足になって、断水した地域も多かった。
やられたのである。体を。
若さにかこつけて不摂生、運動不足、ストレス、三つが重なってついに体が悲鳴をあげた。
原因不明の38℃位の熱が夜になるとでた。解熱剤を飲むと熱はさがった。また夜になると発熱。その繰り返し。
お盆明け、出張先でとうとう体が動かなくなって、病院へ。
医者に診察、検査の後、こう言われた。
「直ぐに入院しないと、下手したら死ぬぞ!」
肝臓の数値が通常の20倍ほどになっていたのだ。
直ぐに紹介状をかいてもらい、広島の病院に入院。
3週間の入院生活を経験した。
入院中にCDプレイヤーとCDを何枚か持っていった。
発病する何週間か前に大阪で何枚か新譜CDを買っていたのでそれを持っていった。
NUCCIO INTRIERI/JAZZ MY DEARもその内の一枚。
バックのメンバーとジャケットの雰囲気で悪くは無いだろうとの判断で買ったのだと思う。
病院で聴くJAZZ。
正直いって、あまりいいものではない。
体力もないし、当然雰囲気もないし、気も散るし、検査はあるし、回診はあるし、薬の時間はあるし、ジャズ鑑賞といっても昼間は集中できないのでほとんど聴かなかった。昼はもっぱら読書とテレビ。
夜は眠れない。そんな時はジャズのCDを聴いた。NHKのラジオ深夜便もよく聴いたっけな。
夜、病院の窓から夜景を見ながら聴くジャズ。
あまりいい思い出ではない。
世間から阻害された閉ざされた空間で一人聴いても楽しい記憶としては残っていないのだ。聴いているのにあまり体にインプットされないというか、要するにちゃんと聴いていなかったんだろう。
退院して自宅療養に。日常生活から3週間も離れると体力って凄く落ちるもんですねぇ。1、2時間で疲れて眠くなるのだ。
徐々に体力が回復するにつれジャズ鑑賞も元のペースに・・・

やはり、健康が一番。健康じゃないとジャズ鑑賞にも実が入らないって事で・・・
このJAZZ MY DEARも家に帰って自分の部屋で聴いた方がずっとよく聴こえた。
決して名盤ではないが、イタリアの若手ピアニストがNYで録音したピアノトリオの水準作といったところか。
HERVIE SWARTZとADAM NUSSBAUMとのバランスはとても良いと思う。
名盤じゃないのに何故かよく聴く一枚。
そんなアルバムってあるでしょう?
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辛島文雄
昔のスイングジャーナル(25年以上前)のニューフェイス登場の欄に辛島文雄も掲載されたことがある。その記事の中で、音大の練習室で空が白みはじめるまで、ビル・エバンスのコピーを当時学生時代やった事があるという文章を妙に印象深く覚えている。
血の滲み出るような努力の末、自己のスタイルを確立したって事か?そう勝手に解釈している。


辛島文雄のレコードはジョージ大塚からみというか、70年代後半「マラカイボ・コンポーン」という名盤をリリース後、ジャパンツアーが行われた折、辛島のリーダー作もそのツアーで来日していたミロスラフ・ビトウスを加えて吹き込まれたアルバムを買ったのが最初。そのアルバムはストレートジャズではなくてウェザーリポート風のスペイシーでヒューマニティ溢れるフュージョンサウンドであった。
生演奏はエルビン・ジョーンズのジャパンツアーで見ているのだが、エルビンとソニー・フォーチュンに気をとられていたのか、正直いってあまり記憶にない。
私にとって辛島さんはレコード、CDの人だ。
結構、リーダー盤は所有している。櫻井郁夫、日野元彦に本多俊之が入ったカルテット盤、奥平信吾が加入したクインテット盤、オールスターの共演盤、トゥーツ・シールマンスとのデュエット盤などなど。肝心のピアノトリオのリーダー盤を持っていなかった。
1994年の初めにFUNHOUSEからリリースされたこのアルバムが最初に買った辛島さんのピアノトリオアルバム。
トニー・ウィリアムスとのスペシャルなトリオアルバム。
サンフランシスコで録音された為というわけでもないだろうが、
おおらかでリラックスした感じを全般的に受ける。
辛島のオリジナル作品でのトニー・ウィリアムスとの丁々発止のやり取りもスリルがあって聴き物だが、個人的にはラストの「O GRANDE AMOR」が気に入っている。

今は亡き天才トニー・ウィリアムスの晩年のドラムが、トニーのリーダー作「YOUNG AT HEART」と並んで心置きなく聴けるピアノトリオ盤としても推薦できる。
この後、夏目成二/DOLPHINE DANCEを博多のキャットフィッシュレコードから購入。全編、辛島のスタンダード、ジャズオリジナルが聴けるピアノトリオ盤としてこちらも推薦。
今年、ニューアルバムがリリースされたが未入手。

それより、一度ライブを聴きに行かなくってはと思っている。 
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PASTOR
闘牛士のトランペッターである。
もちろん本物の闘牛士ではない。音楽に対する姿勢、直情的に邁進するトランペットスタイルから受けるイメージがだ。
このCDは去年の春先、仙台のDISKNOTEから入手。最初注文した時、ちょうど品切れで一ヶ月ほど待たされてから到着。
聴衆の人気があるワンホーンカルテットのフォーマット、反面ワンホーンのアルバムは少ないですよねぇ。
ピアノは今、一部で話題のBRIAN TRAINORが参加。
一曲目は5月の風のように爽やかなイメージをもつテーマが魅力的で、アドリブに入ってもリズム面で工夫がなされた切れ味鋭いプレイを披露。マイルス、フレディー~ウディー・ショウをよく研究した後が見られる。続くブライアン・トレーナーのソロもモーダルなソロを展開。2曲目はブライアンの作品で哀愁度高めのスローナンバー。FLHを使用している。

3曲目は曲の中盤ややフリーライクなやり取りも窺えるアグレッシブな一曲。4曲目「TO CLARK」もFLHで快適なソロを展開。
5曲目も穏やかなメロディーをもつ曲調で、今ごろの季節晴れ渡った午後芝生にでも寝転んでマッタリと聴きたい作品。
ラストの「BALDWIN」もブライアンの作曲で(PASTORの作曲は1と4のみ)リズムにこれまた仕掛けがなされた曲。
個人的にはPASTORの1,4曲目を推薦。

PASTORのTPはテクニック面では申し分ない実力を備えていると思う。ただ、もう少し柔軟性というか、全体的にスケールアップしてより大きな引き出しをもてばもっと素晴らしいプレイヤーになると予感する。
今後を、見守っていきたい。
録音は2001年12月 スペイン、ヴァレンシア

www.omixrecords.com
も参照してみてください。
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DAVID LEONHARDT
2作目のピアノトリオのCDが寺島さんに紹介された事もあって隠れたヒットになったらしい。ベース、ピーター・ワシントン ドラムス、ルイス・ナッシュからなるそのトリオアルバムで演奏もさることながらデビッド・レオンハートの事は随分いい曲つくるピアニストなのを承知していた。
その2年前にファーストをリリースしていた。
広島レコード市で偶然みつけたもので、バックのメンバーにも少し気を惹かれた。
EDDIE HENDERSON(TP)ROBIN EUBANKS(TB)RICH PERRY(SAX)
RAY DRUMMOND(B)MARVIN SMITTYSMITH(DS)LONNIE PLAXICO(B)
メンバーの中では、エディー・ヘンダーソンのトランペットが素晴らしい。
このアルバムの中では2曲目の躍動感溢れるサンバ「MANHATTAN SAMBA」メッセンジャーズライクな曲「DO IT」叙情味豊かな「DEPARTURE」などがイイと思った。
DAVID LEONHARDTのピアノはロニー・プラキシコ、マービン・スミティ・スミスのトリオで演じられる「HOW INSENSITIVE」が聴き物。
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KLAUS DOLDINGER
名前は昔からよく知っていたが、ジャズ喫茶でも聴く機会がなく未知のミュージシャンだった。
岡山のLPコーナーに新譜で入荷していたのを、バックのミュージシャンの名前で買った一枚。
1曲目「YELLOW CAB」はドルディンガー作のブロウナンバーだが、ドルディンガーのソロに続くロイ・エアーズのビブラフォンのソロが思いのほか良い。ドルディンガーのテナーの音は結構太くて、男性的な音色。
3曲目「I GOT IT BAD」で吹くソプラノはテナーに比べて楽器特性によるものが大きいだろうが、マイルドな響き。
トミー・フラナガンの熟練のサポートが冴え渡る。
4曲目も3曲目と同じテイストでこのあたりのテイストはバルネ・ウィランのIDA諸作を思い浮かべてもらったら理解できるだろうと思う。
5曲目「NIGHTTIME IN THE CITY」は躍動感ある曲調でドルディンガーの張り切ったテナーソロが聴かれる。ドン・アライアスのPERがいいスパイスの役目をはたしている。
1曲目と同じくロイ・エアーズが短いが魅力的なソロを披露。
これから夜、何かハプニング、楽しいことが起こりそうな事を期待させるような曲。
トミー・フラナガンとのデュオで演じられる「SKYLARK」カルテットの「ALONE TOGETHER」。バルネだよぅ・・・こりゃー。
モンクの「WELL YOUNEEDN`T」のあとの「MISSING YOU」はブルーな色調のバラードナンバー。
大都会の孤独感を感じさせる淡い筆致のバラード。裏名曲だ。
テナーで「SPEAK LOW」をゆったりとブロウし、ロイのバイブとデュオで「ALL BLUES」をソプラノで演奏。
ラストは全員参加のカリプソナンバー「COCO- MOTION」で楽しく締めくくる。

長らくの夢だつたニューヨークのミュージシャンとのレコーディング、メインストリームジャズの演奏はきっとドルディンガーにとって忘れられないモニュメントになつたであろう。

DOLDINGER IN NEW YORK/STREET OF DREAMS(WEA)
KLAUS DOLDINGER(TS,SS)TOMMY FLANAGAN(P)CHARNETT MOFFETT(B)VICTOR LEWIS(DS)ROY AYERS(VIB)DON ALIAS(PER)
録音1994年5月16日~19日 NY SKYLINE STUDIO
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FAST COMPANY
1曲目から全員がフルテンションで燃焼している。
ジョーイ君のこんなテンション高めのプレイを聴いたのは久しぶり。続くジェリー・バーガンジーの演奏もここ近来ない張り切ったソロが聴き取れる。
全員の熱さほとばしるプレイが記録されているのだ。
はっきり言おう。この演奏を聴いてジャズっていいなぁと思わない人はジャズのもっとも美味しい部分を聞き逃していると思う。
ピアノトリオも良いでしょう・・ボーカルも私は大好きです。
フリージャズも進んで聴きます。ハードバップも良いよねぇ!
そんな中で一番好きなタイプのジャズがこんなジャズである。
スタイル的にはモーダルジャズ。

この演奏にはスタイルだけではない各プレイヤーの緊密なインタープレイが克明に記録されている。その時、その場所でしか生まれなかったであろうミリ単位、0.0何秒単位でのしのぎあい、全員のミュージシャンシップが2月のフィンランドの地で奇跡的な邂逅を遂げたと断言しよう。
とにかくカッコいいのである。
クールなんだけれど、妙に人間くさい面も垣間見れる。これまでの彼らの音楽的バックボーンがこのメンバーが集まることによって素直にだされたのではないか?ごく自然に。
勿論、各人の音楽的レベルがあっての事だが、それだけで、こんないい演奏が生まれる保証はない。
全員の音楽的バイオリズムがぴったりと一致したとしか言いようがない。
メンバーは、
JERRY BERGONZI(TS)JOEY CALDERAZZO(P)
LARS DANIELSSON(B)JUKKIS UOTILA(DS)
1996年2月15,16日 フィンランド
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POSTCARD FROM BRAZIL
Fabrizio Bosso - trumpet
Gianluca Caporale - sax, flute, clarinet
Paolo Di Sabatino - piano
Marco Siniscalco - bass
Glauco Di Sabatino - drums
Bruno Marcozzi - percussion
Massimiliano Coclite, Alessia Martegiani, Raffaella De Mattheis - vocals
2年ほど前にWIDESOUNDから第一作目が黄緑色のジャケでリリースされていたが、未入手で気になっていた。
SPLASC(H)のHPを見ていて第二作目がリリースされることを知ってサニーサイドレコードにすぐに注文して、今日やっとブツを受け取った次第。期待通りの良い出来なので早速アップ。
1曲目「BEBEDEIRA DE RITMO」歯切れのいいリズムをテナーのジャンルカ・カポラーレ、今やイタリアジャズ界の星、ファブリッジオ・ボッソ、ピアノのパオロ・ディ・サバチーノが軽快なソロを披露。オープニングに相応しい立ち上がりで、爽快感を感じる。
2曲目はスキャットによるユニゾンを導入したスモッギーな印象を受ける曲調。3曲目「SAMBA TATI」でのファーストソロはボッソ。ストレートジャズでのソロに比べややソフィスティケートされた感じだが、そこは真の実力者、半分の力で吹いても持てる才能が窺える。4曲でもボッソとサバチーノのソロが聴ける。
作曲は2曲を除いて全てパオロ・ディ・サバチーノ。
つまりTHE POSTCARD FROM BRAZILはサバチーノのバンドという事だろう。
5曲目も軽快でありながらもブラジル音楽の最も重要な特質であるサウダージが表現されている。
我が国にもSPIK&SPANという素晴らしいブラジリアンインストグループがあるがテイストが似ている気がしないでもない。
8曲目はジョビンの有名な「A FELICIDADE」。
録音は今年1月25,26日

試聴できるようなのでアドレスを貼り付けておきます。
http://www.jazzos.com/0VV_detail0.php?prod=H920

明日、明後日とFABRIZIO BOSSO三連発といくつもりです。
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SALVATORE TRANCHINI
ファブリジッオ・ボッソ第2弾!
既に巷で話題のSALVATORE TRANCHINI/FACES(RED)の参加作品。
やっぱりジャズはこうでなくっちゃね!
ピアノトリオばかり聴いている軟弱者に喝!!!緑のジャケットで有名になったマッコイばりのソロをとるナストロ君と全盛期のフレディ・ハバードばりの弾けたソロを展開するボッソに拍手!
スキャンナピエコも元気なジョー・ヘンダーソンに聴こえなくもない。
2曲目はダークな色調のバラード。ジャズ喫茶でブラックコーヒー飲みながら煙草吹かして聴きたい1曲。
3曲目はコルトレーンの曲のようなメロディーをもつ作品で、ナストロ、ボッソ、スキャンナピエコが起伏に富んだアドリブを展開。
4曲目もボッソが素晴らしい。押さえ切れない次から次へと湧いてでてくるイマジネーションに肉体が完全に同化してその瞬間、オリジナルな音楽が創造されているといった具合でまさに、今が旬のミュージシャンだと言える。つづくスキャナピエコ、ナストロもイマジネイティブなソロを負けじと展開。でも一等賞はやはりボッソか?
とにかく残りの5曲も捨て曲なしの推薦盤。
最後は「I REMENBER CLIFFORD」で締められる。
これがピアノトリオなんだなぁ。
できれば、ボッソが参加したトラックにしてほしかったなぁ。
これが唯一の不満点。

最後にもう1つ嬉しいニュースが。
サウンドヒルズからボッソ参加の最新盤が12月にリリースされる。
これも買わないと年越されまへんでぇ!

・FABRIZIO BOSSO/ROME AFTER MIDNIGHT(SOUND HILLS SSCD8129)\2625

▽ PERSONEL
FABRIZIO BOSSO(tp,flh), DANIELE SCANNAPIECO(ts), MIKE MELILLO(p), MASSIMO MORICONI(b), LORENZO TUCCI(ds)

▽ TRACKS
1) EYES OF THE HURRICANE 2) CEORA 3) HONEYSUCKLE ROSE 4) ROAD SONG 5) JOHNNY COMES LATELY 6) YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS 7) BIRDLIKE 8) HAVE YOU MET MISS JONES 9)CRISIS 10) THERE IS NO GREATER LOVE 11) I REMEMBER APRIL
Recorded at House Recording Studio, Rome Italy, Oct. 12 & 13, 2004
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GASPARE DI LIETO
ファブリッジオ・ボッソ第3弾!
YVPのレーベルサイトでメンバーの名前に惹きつけられた。
FABRIZIO BOSSOがまた参加している。リズム隊はアメリカのバリバリの若手黒人ミュージシャンのREUBEN ROGERSとERIC HERLAND.
そしてテナーがあのBILLY HARPERなのが購入の決定となった。
リーダーのピアニスト、GASPARE DI LIETOの素性は勉強不足の為未だに分からない。
2003年8月4日 イタリアのMINORIというところでのライブ録音。
どういう経緯でこのメンバーが集まったのかも定かでないが、レギュラグループでないことは確かで、全員が顔をあわせるのはおそらく初めてだろう。
全曲、GASPARE DI LIETOの作曲。
曲はうーん、可も不可もなしといったところだろうか。
全体的に70年代から80年代のテイストの曲調でビリー・ハーパーのテナーの響きと同じで懐かしさを感じさせる。
ボッソとハーパーのコンビネーションはややミスマッチというべきか。
オールマイティのボッソに対して頑固一徹昔と変わらぬ硬質な鋼のサウンドでモードマナーでテナーを吹くハーパーは、やはり不器用というか、男気を感じさせるところは、変わっていない。
しかしである、このセッション、期待していたハプニングが起こらず予定調和のプレイに各人が終始してしまったようだ。
勿論、ボッソもハーパーも自己の持ち味は充分に発揮してはいる。ただそこから化学融合がおこって音楽が新たな局面に進展していくという場面は残念ながら見られない。
5曲目などはハーパーの作品かと思うような曲調だし6曲目のカルテットで演じられるバラードなどで、ビリー・ハーパーは見せ場を披露してくれる。
ライブで実際見ていたら充分満足するステージだったであろう。 
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FRANCESCO CAFISO
噂は聞いていたが、こいつは本当の天才だ。
PHILOLOGYからリリースされたファースト作は寄せ集めのセッション集だったので、見送っていたがDUO集をはさんでこの第3作目は同じくPHILOLOGYからで、なんと2枚組アルバム。
コンサートでのライブ録音で演目はなんとミッシェル・ペトルチアーニ集。
2001年に第一作の吹き込み時が11歳だったというから、このコンサートが開かれた2004年3月時点では14歳。
これが14歳のプレイか?本当に14歳なのか?
アルトの音がまず、ずば抜けている。
マッシモ・ウルバーニの再来、いやマッシモのような狂気性は感じさせない。ジャズの伝統を継承しているという点では、フィル・ウッズの影響を最も感じさせる。現在イタリアを代表するアルティスト、ロザリオ・ジュリアーニ、ステファーノ・ディ・バティスタの二人もうかうかしてられない。
いやもう既に、この時点で同格というべきか?
後、数年でイタリアでトップのアルト奏者になるのは、間違いないだろう。
このコンサートなども、ある程度譜面は前もって用意されていたかもしれないが、どちらにせよそんなにリハーサルしたわけではないだろう。
この歳でぶっつけ本番のような形でこれだけ自分を表現できる度胸、肝っ玉の太さ、それだけではない音楽的なバックボーン、引き出しの多さ、まさに一を聞いて十を知る聖徳太子のような天才性を持っていると言わずしてなんと言おう。
FRANCESCOに現時点で足りないものは、経験と知識だけである。
いずれにせよ平凡なミュージシャンが一生かかってもモノに出来ない経験(QUANTITY)知識(QUALITY)を有するこの少年がさらなる一歩を踏み出すのは、時間がすべて解決するに違いない。
暫らくは、こわいものなしで暴れまわって欲しい。
たまには破綻してしまってもいいではないか、小さくまとまってしまうのではなくて、失敗作や駄作がもしでたとしても気にしなくても良い。
その時その時自分の気の赴くまま好きなようにプレイしたらよいと思う。
それくらい器の大きなミュージシャンになることを期待している。
CAFISO君、
アルト1本もって日本にも武者修行にきて欲しいね!
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FLAVIO BOLTRO
最近クレジットを見て気がついた。
ピアノが今、話題のMASSIMO FARAOじゃん!
フラビオ・ボルトロ自身はレーベル・ブルーへのステファーノ・ディ・バティスタとの双頭クインテットでの吹き込み以来世界的にも注目されるようになっていきBLUE NOTEレーベルからもリーダーアルバムをリリースしている。
この頃は(1991年)まだ知る人ぞ知る存在だったはず。
1992年にPENTAFLOWERSレーベルは結構まとめて作品をリリースしてこのアルバムもその中の一枚としてでたはずだ。
1994年に倉敷の中古屋で手に入れた。
1曲目、魅力的なテーマの後、中音域を巧みに使ったフラビオのソロは結構魅力的。
2曲目はミュートでのソロから他のメンバーがフィルインしてきてグルーブしだす。フラビオの音色はややマイルスライクか?
3曲目「BOSSA LUNA」マッシモ・ファラオのピアノがプリティーなテーマに続きフラビオのTPが爽やかな音色のソロへ引き継がれる。
芝生に寝転がって空を眺めながら聴きたい1曲。
4曲目は1曲目と同じ様な曲調でモード曲。「WOODY」という題名はウディー・ショウに捧げた曲なのだろうか?
急速調にスイングするボルトロのTPが聴ける。
5曲目はダークな印象のバラード。薄暗いジャズ喫茶の片隅で聴きたいような曲。
全8曲。1991年9月 ミラノ録音
TPワンホーンのイタリアンジャズの秀作だと思う。
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日野皓正
大学一年生だった夏、和歌山県白浜海岸で住み込みのレストランのバイトを一ヶ月やった。
ジャズより当時クロスオーバーとまだ呼ばれていたはずのフュージョン系のカセットテープをたくさん持っていって休みの日の海岸や宿舎で夜よく聴いた。
渡辺貞夫/カルフォル二ア・シャワー、ボブ・ジェームズ/タッチダウン、クルセーダース/風に舞う、スクラッチ、リー・リトナー&ジェントルソウツ、スタッフ、デイブ・グルーシン、ジョージ・ベンソンなどなど。
バイト先のレストランの前にプールがあって休憩時間なんかにもよく泳いだ。アイスクリームを売店で売る当番があってよくちょろまかして食べたもんだ。
歩いて十分ほどのところに「画房」というジャズ喫茶があってバイトが休みの日にはよく訪ねた。
そうして稼いだお金はアルトサックスを買う資金の頭金になったはず。
もちろんレコードも買った。
当時はヒノテルの大ファンでこのFRYING DISK第2作目もその時買ったはず。
当時より今の耳で聴いたほうがこのレコードなど評価が高いのではないか?
THIS PLANET IS OURS(HARRY WHITTAKER)やFALLは、TAWATHAと笠井紀美子のボイスを効果的に使っていて今のクラブシーンなんかでも結構うけるのではないか。
メンバーも凄い顔ぶれ。
日野皓正(TP)峰厚介(TS,SS)JOHN SCOFIELD(G)益田幹夫(P,EL-P)CLINT HOUSTON(B, EL-B)日野元彦(DS)ジョージ大塚(DS)
MTUME(CONGAS,PER)
CITY CONNECTIONをだす前の過渡期的な作品と見られがちだが、
サウンド的には結構いい線いってると思います。
たくさん所有している日野さんのレコードの中でも特によく聴く一枚。
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WARNE MARSH
ウォーン・マーシュはウェイン・ショーターと並んで私のアイドル的存在のテナー奏者だ。
初めて聴いたのは何時だったのだろう?
たぶん「アスペクト・イン・ジャズ」のリー・コニッツ・ストーリーでレ二ー・トリスターノ5重奏団の演奏かなんかを聴いたのだと思う。
青白くカミソリのような鋭さを持つ40年代後半から50年代初頭にかけてのコニッツの演奏(当時の風貌も独特の雰囲気がある)に比べマーシュの演奏はテナーという楽器の特性もあるがその頃からおっとりとした朴訥で暖かい印象を受けたが、はっきりいって当時はあまりよく分からなかった。
マーシュが俄然自分の中で大きな存在になったのは、幻の名盤読本に載っていた2枚のレコードだ。
「JAZZ FROM TWO CITIES」と「MUSIC FOR PLANCING」。
最初のはH野さんに聴かせてもらってその流麗なラインとハーモニーに感銘を受けた。
後者は「JOJO」でリクエストしてそのユニークな曲解釈に思わずコーヒーをお替りしたのを覚えている。
VSOPからこのモード盤がリイシューされた時すぐに買い求めた。
その時の嬉しかったことよ!
行きつけの「JOKE」でもアトランティク盤やWAVEやSTORYVILLEのレコードをリクエストしたり、よくかかってもいていつのまにか最初どこがよいのか今ひとつよくわからなかったマーシュのテナースタイルの虜になっていた。
80年代以降もCRISSCROSSやDISCOVERY盤で晩年の演奏を追いかけた。アーティキュレーションがやや不安定になるのは仕方ないとして(否、マーシュのスタイルではそれも個性とて発揮されるか?)バラード演奏などワンアンドオンリーのオリジナリティーをだし続けた。
無くなる寸前まで演奏していたという。
演奏の休憩中に具合が悪くなりそのまま病院へ、そのまま息をひきとったらしい。まさにミュージシャン冥利につきる死に方ではないか。
ウォーン・マーシュのDNAはポール・モチアン~ジョー・ロバーノを触媒としてマーク・ターナーなど今日のヤングテナーマンに確実に継承されている。
彼ら若手のキーワードは自身のオリジナリティー、プレイ指向よりもむしろサウンド指向という点。
これぞマーシュのテナースタイルの真骨頂ではないか!
かなわぬ夢だが、マーシュとターナー、マーシュとジョシア・レッドマン、マーシュとクリス・ポッター、クリス・チーク、ビル・マクヘンリー、シーマス・ブレイクの共演を聴きたいのは私だけではないだろう。
今日の若手白人テナーにとってマーシュの存在は同ギタリストにとってのジム・ホールと同格の位置付けなのではないだろうか?
このCDは今日駅前のグルーヴィンで\1029で買った。
録音もいいしスインギーなマーシュのプレイが記録されている。
もう一度今から聞き直してみます。
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HAMPTON HAWES
学生時代よく「JOKE」で聴いていて「いいなぁ」と思っていた。
今から一昔前大阪の名店「MUSIC MAN」で実際に手にいれた。
ホーズのピアノのイントロをバックに英語のナレーション、メンバー紹介が独特の雰囲気をかもしだしている。
GI時代以来の久々の日本人ジャズマンとのセッションでその成長振りに驚いたのではないか?
1曲目「ALL THE THINGS YOU ARE」はツーテナーのテーマ演奏の後、宮沢昭、沢田駿吾、松本英彦、鈴木勲、ハンプトン・ホーズとソロが廻される。
日本のミュージシャンは健闘している。しかしホーズのソロがやはりこの時点では、まだ群を抜いている。ネイティブの強みというか、普通にやっていても伝わってくる情報量が日本人ミュージシャンより断然多いのだ。

宮沢昭は一回だけ生でライブを聴いている。
もう20年位前のことになるだろうか。山陰出張中、太田グランドホテルに宿泊した時、偶然地元のジャズファンクラブのイベントで小津昌彦カルテットのライブが開催されていたのだ。
宮沢さんの名前を見つけてすぐに当日券を買い求めて聴き入った。
ピアノは確か佐藤允彦だったような・・・
松本英彦はジャズフェスで何回も観た。BIG4でいつも「DARK EYES」をやっていたと思う。
鈴木勲は今だに私にとって「BLUE CITY」の人だ。
何年か前広島の「ジャズニーズ」でのライブを聴いたが、ターコイズブルーのシャツがおしゃれでカッコよかった。
なんとなく顔があうとあちらから話かけてくれ、一言二言会話を交わした。
よく広島にはお弟子さんがいるので来広して今でもライブがよく開かれる。

ホーズも宮沢も松本もなくなつてから月日が経つ。
今から35年以上前、ホーズの滞在中に録音された一期一会のジャムセッションだといえよう。
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MJQ/ODDS AGAINST TOMORROW(UNITED ARTISTS)

確か高校2年生の冬休みに買った一枚。
クリスマスの時期になるとこのレコードのことを思い出す。
1曲目の「SKATING IN CENTRAL PARK」からクリスマスの雰囲気をなんとなく受けるのだ。
この曲はデイモン・ラニアン主演の映画「拳銃の報酬」の挿入歌として使われ文字通りセントラルパークの風景がモノクロの映画ながら美しかったのを覚えている。
このレコードをかってまもなく土曜日の夕方かなんかにTVで放映されたのを見たのだ。
ライアンと小さな女の子が風船をもって歩いていてその風船が空に飛んでいくシーンが何故か強く印象に残っている。
このシーンは「ラウンド・ミッドナイト」にも少し脚色されて引用されていたと記憶する。
ワルツテンポの1曲目と明日への期待と不安をかんじさせる最後の曲「ODDS AGAINST TOMMORROW」が聴き物。
ピンク色にコーティングされた水辺に佇む人影のジャケットも結構気にいっている。
久しぶりに聴いてみようと思う。
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GUIDO GUIDOBONI
このCDが現代イタリアジャズを積極的に聴くようになるきっかけとなった。
いつも仕事の合間によっていた倉敷の「GREEN HOUSE」で特に買うCDがなかった為まったくの勘で入手。
メンバーの名前を一人も知らないし、曲も2曲を除いて全部オリジナル。
TPとTBの二管編成が面白そうと思った。あるようであまりない組み合わせで今すぐ思いつくのは、アート・ファーマー~スライド・ハンプトンくらいか?
ホテルに戻ってあまり期待もせずポータブルCDプレイヤーで聴いてみた。
1曲目、ややドラムがドタバタだけど歯切れが良くキャッチーなテーマが爽快。全員が安定した実力を兼ね備えたミュージシャンなのが一聴聴き取れた。
そして曲が良い。仕掛けがあり、とにかく飽きさせない。
山あり谷ありで、既存のジャズより創意工夫によって演出が巧みになされている。しかもこれが肝心なのだが、作為性があからさまには見受けられないのだ。マンハッタンジャズクインテットなどは、その点がくどすぎて私は好きになれない。
2曲目は哀愁のバラード。と言ったらベタすぎるか。それほどベタベタはしておらず、かといって淡白でもない程よい加減のバラード。3曲目もミディアムのワルツテンポの作品で爽快さを味わえる。4曲目「SONG FOR LINDA」女性名のついた曲はいい曲が多い。
そしてバラードだ。大概。
5曲目はハーモニカ(GUIDO)がソロをとるチェンジオブペース的作品。
6曲目「VIRTUAL BOSSA」これぞ現代ハードバップの名曲!
未聴の方は是非聴いてもらいたい1曲。
GUIDO GUIDOBONIのトランペットもノリの良いソロを披露。
トロンボーンのSANDRO COMINIも同じテイストのソロを受け継いで展開。
全11曲。
ラストはこの「VIRTUAL BOSSA」がアシッドバージョンにリミックスされている。クラブを意識?

GUIDO GUIDOBONI QUINTET/FREE FLY(MOLTO JAZZ)
1994年12月3,4日 イタリア録音

演出力と構成力で勝利した現代イタリアJAZZの傑作だと思う。
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SHAWN THUNDER WALLACE
今はなき六本木WAVEの広告に推薦文が載っていた。
それを読んで、なんとなく気になって通販で購入した。
メンバーの中では、MARCUS BELGRAVEが有名。
後は、リーダーを含めて聞いたことのない名前だ。
1曲目、歯切れの良い正統派バップサウンドに続く2曲目で、このアルバムのリーダー、SHAWN WALLACEのアルトサックスの音色にハッとした。サンボーンの音なのである。やや丸みとダークネスが強いが、本質的にサンボーンの音色に近いものがある。
サンボーンがやりたくて、何度もトライアルしつつ、飛び越えることの出来ない壁をなんの衒いもなくSHAWN WALLACEは、その音色を武器に自分のJAZZを具現化していく。
4曲目はソプラノでROUND MIDNIGHTを吹奏。アルトに比べてやや個性が薄いが最後までだれずに完奏するところに、力量が窺える。
5曲目は再びアルトに戻って、さっきと別人のように細かいニュアンスまで個性を発揮。
6曲目は再びソプラノで「IT COULD HAPPEN TO YOU」。
ラプソディクな味をまじえつつ、スインギーなプレイ。
7曲目は、WALLACEの特徴が最も生かされた楽曲だと思う。
生まれた時から様々なジャンルの音楽を体験し、ジャズの歴史においてもフュージョンミュージックのフィルターを通さずには、出て来ないであろうサウンドが結果として彼(WALLACE)の選んだ音楽(JAZZ)になんの違和感もなく見事に融合、昇華されているのである。
そして9曲目が最大の聴き物。
「GOODBYE PORK PIE HAT」
彼が根っからのジャズマンなのが、良くわかるトラックだ。

このアルバムを録音した時、(1993年)18歳だったようで、こらが3枚目のリーダー作らしい。
それから消息を聞かないが、今どうしているのだろう?
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CLAUDIO RODITI
1991年だったか、このCDがでる一年前大阪BLUE NOTEでライブにH野さんと一緒に行った。
約一時間ちょっとのステージだったが濃い内容の演奏だったのを覚えている。
このCDのようにスタンダード、ジャズオリジナルはやらずにほとんどクラウディオ・ロディティのオリジナル作品を演奏したはず。
FLHとTPを曲によって持ち替え、一方パキート・デ・リベラもAS,SS,CLを持ち替え色々な楽器の編成でアンサンブルの妙を聴かせてくれた。
そして一番びっくりしたのが、パキートのクラリネットの饒舌さだった。学生時代、合歓の里で観たフィル・ウッズのクラリネットより断然うまい。
このときの編成もこのCDと同じくクインテットだったと思うが、他のメンバーを全く思い出せない。
それだけフロント二人が印象深かったのだろう。
このCDではバックのメンバーも印象に残るプレイを繰りひろげている。ケニー・バロン(P)レイ・ドラモンド(B)ベン・ライリー(DS)だから当たり前か?
クラウディオのトランペットは派手なところはないかもしれないが、中音域がとても柔らかくてコシ、ハリがあり暖かな音色がして聴いていて飽きることがない。アドリブフレーズもメロディアスで
よく謡っているので聴きつかれしない。
パキートの派手で高域に跳ね上がっていくアルトサックスと好対照をなしていてその対比が面白い。
このCDは1990年11月NYのバードランドでのスペシャルライブを収めたもの。
MILESTONES,I`LL REMENBER APRIL,BUT NOT FOR ME,PENT-UP HOUSE,BRUSSELS IN THE RAIN,MR P.C.
の全6曲が収録されている。
BUT NOT FOR MEでクラリネットが聴ける。
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増尾好秋
増尾好秋の名前はジャズを聴き出して間もない頃に知っていた。
タモリが早稲田のジャズ研で同級だったことを、「オールナイトニッポン」でよく喋っていたからだ。
学生時代、とにかく練習の虫だったようで、朝から晩まで部室でギターを触っていたらしい。
「笑うと森昌子そっくり」と番組でタモリが言っていた。
あと、その頃タモリが、先輩にこう言われたのは有名な話。
「マイルスのトランペットは泣いているが、おまえのペットの音は笑っている・・・」
そうそう、タモリのオールナイトニッポンには、よくジャズミュージシャンがゲスト出演していたっけな。
山下洋輔、坂田明、小山彰太、中村誠一、ハナモゲラ一派はもちろんマルタ、リッチー・コール、リー・オスカーなんかも出演したはず。
増尾好秋も出たような気がする。

70年代後半から80年代初頭にかけてエレクトリックバードからリリースされたアルバムはリアルタイムで買っていた。
今聴いても名曲揃いで個人的にはリアレンジしてセルフカバー集を
作って欲しい。

このアルバムは70年代初頭の渡辺貞夫のバンドのリユニオン。
かってのサイドメン増尾ちゃんの為に、渡辺貞夫がほとんどの曲に参加。
オリジナルも1曲提供している。ベースはチンさんこと、鈴木良雄。
先月、ビデオアーツからリーダー盤が出たばかりでそこでもナベサダカルテットのリユニオンが実現している。この増尾のアルバムからもう12年たつんだなぁ。
2曲目はソニー・ロリンズのアルバムに増尾が提供した軽快にジャンプする曲。
4曲目「MINOR SAMBA」。スローテンポのせつないサンバ曲。
貞夫さんのアルトと増尾のギターが絶妙な調和を生み出している。
日本人でしかできないジャズだと思う。
7曲目「YOU MAKE MY LOVE BURN BRIGHT」メローでポップなバラードナンバー。ここでも貞夫さんのアルトが曲に映える。
最後2曲はパーカーナンバー「MOOSE THE MOOCHE」と何度も演奏したであろうスタンダード「OLD FOLKS」で締めくくられる。
増尾好秋がギタリスト、作編曲家、バンドリーダー、プロデューサーとしてトータルな能力を備えた音楽家であることを再認識したアルバム。
そして、最後に
増尾ちゃんの音楽は暖かいのだ。






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